タムホルダー蘊蓄

いきなりですが。

タムホルダーとはなんだ?

多くのドラマーはタムホルダーに依存して生きている。タムホルダーはドラマーを左右する。頭の隅っこにいついて、いつもなにかしら気になっている。 (嘘)


タムホルダーとは、すなわち美学であり、美意識ではないか。

ドラム界のインダストリアル・デザインにおける頂点というべきであろう。タムホルダーの存在は奥ゆかしい。メーカーによって様々な形状、機構になっているが、その昔のヤマハのタムホルダー、あれを出発点にして私のタムホルダーな想いが始まったと言える。

ヤマハのタムホルダーは、なんというか脆さを感じさせてくれる。機能的に脆いのではなく、あの形、なんだか絶妙なバランスだ。色気と言ってもいい。また、タムホルダーを受ける、タム側のブラケットの形状も実によいし、ネジとの大きさのバランスもとれている。大学時代にYD9000Rを使っていた私は、ハイテンションラグを含め、あのデザインにはじつにほれぼれしたものである。あ、話がタムホルダーから離れそう。

最近のタムホルダーについては、タマのタムホルダーはとてもいい感じだと思う。昔のタマは無骨という印象があって、音は好きでよく叩く機会もあったのだが、タムホルダーには納得がいかなかった。なんというか、スネアとタムをあと1cm近づけたい、というときになんだか融通がきかないのだ。考えてみるとその時代と変わらないはずだが、今のやつはいい。

ヤマハのYESSは、もともとシェルにつける前提でデザインされたものを、台座をつけたような形で浮かせているので、どうにも改造した後、という印象があるかな。しかしながら、やはりセッティングの手軽さは抜群である。最近はメイプルカスタムを使うようになったので、なんというか手軽さを実感する。

パールについては、正直言ってあまり興味がなかった。タダの棒じゃんという感じがあったのと、タムタムには角度がつくので、大概タムホルダーは90度以上に折れ曲がっている。その角度を見ているのがなんだか辛い。すごい個人的主観的(笑)。でも、実は私が最初に買ったエレドラはパールのやつで、あのパッドにあのタムホルダー(というかロッド)が実にカッコイイのだ!その後憧れのシモンズSDS5なども使ったが、タムホルダは、パールの、チューニングキーで無段階に調節できるやつ、あれが素晴らしいと一人ご満悦だったのだ。

タムホルダーは、実に奥が深い、と思っていたら、最近は仲間うちで「怪人タムホルダー」とか、「赤ホルダー、青ホルダー...」なんていうギャグが流行ってしまい、それに応えて「ダブルキーック」「ゴースト・モーションッッ」なんて鼻息を粗くしながら言ってしまう自分に気づく。実に悲しく、実に楽しい。

「で、でたな!怪人タムホルダーァァ!」
(ナレーション:怪人タムホルダーは、必殺ワザ「ゴーストモーション」で街中を破壊してしまうのだっ!)

ま、どうでもよい話です。

(このテキストは2000年頃に書いたものです)

( 1999/12/02 )