Steve Jordan

高校の時にバンドに誘われてドラムを叩いてはいたものの、それほどドラムにはまったわけではなかったと記憶している。ただ、段々とドラムに対する関心が高まってきていて、なんだかカッコヨサゲなものに興味を持ち始めたときに、友人から「渡辺香津美」を教えてもらった。KYLYNを買うつもりでレコード屋に行ったらば置いて無くて、最新盤と書かれた真っ黄色のジャケットの「TOCHIKA」を買い、家に帰った。

tochika

TOCHIKA / 渡辺香津美

レコードに針を落とした瞬間「ドンンタタッドン...」という見たことも聞いたこともないサウンドで、実になんだかわからないドラムのフィルインが聞こえてきた。「自分は間違いなく欲しかったものを手に入れた」という確信とともに、その日からTOCHIKAを聴きまくった気がする。しかもA面1曲目の、ドアタマのピックアップフィルばっかり(笑)

それまで聴いていたドラムの音と、ドラムセットの音が違うし、フレーズの語り方も違う。演奏の展開もフレーズの多彩さも...。ドラムの名前を見るとSTEVE JORDANとあり、ヤマハのドラムのカタログに緑のセットを叩く姿が載っていた。

 「ドラムって、なんて広がりのある楽器なんだろう」

そう思わせてくれたのは、このアルバムのスティーヴ・ジョーダンだ。あの当時、なんとなく退廃感みたいなものと共に、高校では「ヒッピー四人組」とか言われながらバンドをやっていたが、このアルバムをキッカケに、私の中のドラムへの興味が沸々と湧いてきたのだった。このアルバムでのスティーヴ・ジョーダンはまだまだ若かりし頃であって、この後の変遷を通って、現在のグルーヴ・マスターとしてのジョーダンへと変わっていった。もちろん、今のジョーダンも好きだけれど、私にとっては想い出の分TOCHIKAでの演奏がベストかもしれない。

( 2005/03/22 )