ドラムを叩く胸のうち

ドラムっていう楽器が、とても好きである。

ドラムを叩いていると、楽しいだけでなく、もっとうまく叩けるようになりたいと思って自分をいじめたくなるし、理想と感じる音になるまで練習し続けたくなる。それは精神的肉体的に辛いことでもあったりするのだけれど、そのためとなるとどこからか力が湧いてくるのだから不思議だ。好きな音楽や好きなドラマーの演奏を聴いているときも元気になったり力が湧いてくるけれど、そうした受動的な面だけではないと思われる。

どこから力が湧いてくるのか。湧いてくるとは言っても、まぁ私の力など、世界の何かを変えるほどのカッチョイイステキパワーではない。がしかし、幼少期から人生を顧みてみれば、圧倒的にエネルギーが出てきていたし、口幅ったいがドラムで人生変わったといえよう。おそらく私にとってドラムは、肉体を使い、集中力を高め、気持ちよく疲労するという効果を持っている。そのため、汗をかいたりクタクタになってみたりもするけれど、それによって心身共に活性化するために、体がその効果を求めて、自らをドラミングに駆り立てるのであろう。ある種の麻薬的効果か。もしくは、生きるために必要な行動と肉体が捉えているか。 こんなふうに言えばなんとなく調子が良いが、実際には「音はこうあるべきだ」とか「アンサンブルではこうありたい」とか、そんなこともやっぱり考えてしまう。演奏がキマらないと精神的にはストレスとなることもある。こんなことの繰り返しそのものが、いわゆる「ハマる」ということなのだろう。

なぜドラムというものに出会ったか、なぜ今こうして生きているのかは説明できない。ただ、私はドラムが好きで、ドラムに触れているときの自分の視点から世の中や周囲の人を見たときに、いろいろなものが自分らしく見えていると感じる。だからドラムは自分にとって帰る場所であり、自分を取り戻す場所なのかもしれない。ある意味、仕事的に演奏することがあまり得意ではないのは、そのためなのかも知れないとすら想う(笑)

ドラムっていう楽器はとても原始的だ。だから、面白い。楽器をやることでバンドが売れて印税が入るとかモテモテになるとか、そういうことも素晴らしいが、どうやらそれは次にイケメンに生まれ変わったときまでおあずけらしく、今のところそういう事とは別のところでも随分と楽しい。いや、むしろそういうことが無いのに、時間を忘れ労力をいとわず夢中になってしまう自分を発見すると、人生とは生きるべきものなぁ、だと感じるのだ。

他のドラムの人がこんなふうに考えているかどうかは知らない。

( 2005/11/15 )