Jack DeJohnette

 ドラムマガジンの特集「地獄のフットワーク」というものをやらせて頂いた時のことです。撮影に、ディジョネットが使用していた黒いコーテッドのヘッドを使いました。ドラマガ編集部担当のK氏が「このヘッドかっこいいですねぇ」と言うので「これ、ディジョネットのヘッドで、これをフロントに使うと、ホールカット無しでもサスティンがほどよくまとまるんですよ」と返す私。ついでに「私、ディジョネット好きなんですよね〜」と付け加える。撮影は順調に進み、その日はそれで終了。ところが、後日「ディジョネット好きなんですよね?インタビューします?」という電話...。偉そうに「好きなんすよねぇ」とは言ったものの、やはり超大物重鎮ドラマーを相手に、自分などがなにをできるものかとビビリまくり。しかし自分の口から出た言葉は「やりますやりますやらせてやらせて...」後先を考えないとはこういうことを言うのでしょう。

 思えば、初めてのインタビューだったかもしれません。メチャクチャ緊張したのを憶えています。ちょうど、ドン・アライアスとのビデオが出来た頃で、ディジョネットはその音源をホテルの部屋で流していました。6/8の演奏になったところで、私も拙く膝を叩いていると「こういうのが好きか?」と言いながら、ディジョネットも軽く何かを叩きはじめました。

 インタビューは通訳の方のご尽力により、大失態はせずに、なんとか終了しました。このときの内容については、当時(96年)のドラムマガジンをご覧ください。見れないか。ディジョネットは、大御所であるとか重鎮であるとか、こちら側が持っているイメージとはちょっと違う、実にピュアでシンプルな人でした。これだけの人が、ああいう状態でいられるというのは本当に凄いことです。


( 2006/05/29 )