豆腐

35才になった頃からか、豆腐が好きになってきた。

冬に湯豆腐、というのは昔から好きだったけれど、それはたぶん昆布だしの味が好きであったり、薬味の鰹節と醤油がご飯と合うという程度のことで、豆腐自体にうまさを感じることは少なかったように思う。

ある時、家の近くにある「ひるま豆腐店」で豆腐を買ってみると、実によい香りがした。その当時は、大根下ろしであっさりご飯をすませたい、と思うことが多く、それだけではちょっと物足りなくて、買ってみたのだった。

で、豆腐と大根下ろし、鰹節なんかをご飯に乗せて、軽く混ぜながら食べてみたら、実にうまい。そして、豆腐だけを口に含んでみると、フワーッとした旨みが、口に広がるのが嬉しいほどだった。

足立区竹ノ塚にある「ひるま豆腐」です


以降、昼間や夕方に家にいられるときには、豆腐屋に買いに行くようになった。店が閉まっているときにスーパーで結構な値段のものを買ったこともあったが、やっぱり豆腐屋のがうまい。

そして、京都で豆腐屋を何軒も回ったりもしたが、帰ってきてひるまさんの豆腐を食べると「うまいなぁ」と思う。

みそ汁、湯豆腐、やっこ、煮物など、いくらでも食べ方があるけれど、シンプルに食べるのが好きだ。豆乳に豆腐を入れて豆乳湯豆腐にするのも素晴らしい。豆腐を買うときに、油揚げも買って、軽くあぶって細めに切り、やはり大根おろしやちりめんじゃこなんかと一緒に食べるのも旨い。

豆腐には心から感謝したい。先人達がこのような食べ物を残してくれたおかげで、私は滋味を感じて生きることができる。

湯豆腐です。薬味と醤油を鍋の真ん中で温めるのも好きです。

( 2005/12/03 )