岸田屋(月島)

旨い店、ということになれば、いろいろある。

ただ、もう一度行きたい店、生物学的に食べて呑むだけでなく、何かを求めて行く店ということになると、それはまた限られてくる。頭の中でリストアップしてみると、結構味だけの話ではないようだ。

ということで、月島の岸田屋は、好きな店なんである。

モツ煮はもちろんだが、シメにおにぎりとはまつゆが美しい。

行くと楽しい。行くと嬉しくなる。

新しいものを求めていく店ではない。なぜかは知らないが、これから未来に出会うであろう「今まで味わったことのない美味」があるとしても、それよりも確実にうまいと言える。そう思わせる何かがある。これはたぶん自分の体験が絡むからなのだろう。心を許せる友人と会うときのような気持ちになる。心が通う店ということか。たぶんこの先、どんなに食い道楽に走っても、ここを忘れることは無いだろうなと感じている。

( 2005/12/30 )