ヱビス・ビール
高知四万十川にてエビス・ビールが好きです。 香りも良いし、ボディがしっかりしていて飲み応えがあります。ズシリときてくれます。でも、このビールを飲むようになったのは30過ぎでしょうか...。 そもそも20代の頃は自分から進んで酒は飲まなかったのと、ビールは最初のひとくちは美味いと思うけれど、瓶一本なんて飲めないなぁという状態。ところが、初めてブラジルに行ったときのこと。とにかく暑くて暑くてたまらんかった。コパカパーナ・ビーチの近くに滞在していたが、店に入ってビールを頼んでみると、これが実にうまい。メニューにBeerと書いてあるところを指差すと、店の兄ちゃんが「ショッピショッピ」とうるさく言う。よくわからんが熱意に負けてそれを頼んだらば、どうやら「choppi」は生ビールのことだということがわかった。どんな店に行っても、キンキンに冷えたやつが出てくる。暑いので呑む。呑んでも腹にたまらず、どんどん呑める。 日本でビールをこんなに呑めたことはそれまでなかった。というか、それまで人生にそれほど酒を必要としていなかった。ところが、スイスイ呑めるものだから面白い。それでビールを飲む快感を知ってしまった。 そんなわけでビールが好きになった。 日本でビールを飲むときは、ブラジルのようにはいかない。あんなに暑くないし、日常のテンションも違う。しかし、うまい一杯にありつけたときは嬉しくなる。しかし、そのうまい一杯が、いつも手に入らない。これはどうしたことか。 日本にもビールメーカーはたくさん存在している。その中で「やっぱうめぇな」と思うのがヱビスなのだ。 ビールの何を楽しむのか、私の場合、そこを満足させてくれるのがヱビスということになる。大手メーカーだけでなく、地ビールなど他にも美味しいビールはたくさんある。ただ、私の基準としては、飯を食うときにうまいのがヱビスということなのだ。もちろん、ワインにあう料理があるように、ヱビスに合う料理、合わない料理もあるだろう。天麩羅なんかは軽いビールでもいいかなと思う。料理によってはビールでなくて酒のほうがよい時もあるだろう。 酒というものは、いろいろな場面で使われる。食前酒、食中酒、食後酒、晩酌、コンパ、接待、やけ酒、祝いの宴、悲しみの宴などなど。コンパや接待はヱビスじゃなくていいんじゃないすか。毎日毎日営業御苦労様な状態であれば、ビールは軽い方がよいだろう。体がもたぬ。そもそも、飲み方がたくさんあっていいとは思う。 ただ、ひとつ困ったことに、昨今の日本の飲食店は、どこもかしこも同じビールという名のビールに似たものが置いてある。あれはちょっとしたファシズムだ。言い換えれば、どこのライブハウスに行ってもジャリタレのへなちょこロックしか聴けないような状況。だから、敢えてエビスが好きだといわざるを得ない。まぁ、うまいビールを呑みたければバーに行け、ということになるのかもしれない。 私にとってビールは「うまいもの」であり、「うまいビールが呑みたいなぁ」という時に呑みたくなるのがヱビス・ビール。もっともっと旨いビールがあっても何にも困りませんが。 ( 2005/12/04 )
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