藪蕎麦(浅草雷門)

蕎麦っていうのはいろんな楽しみ方がある。

蕎麦自体の味、蕎麦に辿り着くまでの酒と肴、蕎麦屋の風情などなど。

30代後半になって、もっぱら「昼蕎麦」が素晴らしいと感じるようになった。昼間に暖簾をくぐって蕎麦屋に入る。やや薄暗い。つまみを頼み、ビールだとか酒をいただく。罪悪感が酒の旨さを倍増させる(笑)蕎麦屋には、創作料理の店といっていいほど、肴やつまみが揃っている店もある。しかも大概めちゃくちゃうまかったりする。日本酒も、日本全国から集めた名酒が揃っていたりする。

そんな蕎麦屋も素晴らしい。だが、雷門の藪はもっと地味だ。つまみといっても、蕎麦味噌、海苔、板わさ、あとは天麩羅くらいのものか...。ここは、なぜだか店内の床も座敷も傾いている。ボールを置いたら、コロコロ転がるだろう。椅子に座っても、座敷に座っても、なんとなく安定が悪い。でも、なんだか居心地が良い。

そう、ここは居心地が良いのだ。蕎麦そのものが美味いとかいうより、空いているときに座敷で樽酒を呑んだりできると、大層気分が良い。昼蕎麦っていうのは、当たり前に仕事していれば、なかなか出来るモノではない。真っ当な蕎麦屋は日曜日が休みであるし。

この店の中には、外と違った時間が流れている。そんな場所です。

つゆが辛口なのは有名。

そばを威勢良くズズズッとたいらげて...

そば湯にネギをいれていただきましょうかね。

(追記)

2009年の冬になって、初めて鴨南蛮をいただいた。そういえばなんでいつも頼まなかったんだろうかと。お店がやや空いているときだったので、鴨抜きを頼んだ。この店では抜きを頼んでから蕎麦を頼むと、蕎麦は別料金扱いになる。それでもやはりそうしたいものだ。樽酒を吞みながら鴨汁をすすり、脂たっぷりの鴨肉5枚と、抜群の粗挽き団子を頬張る。この汁を飲みながら酒を飲むのがたまらんなー。

樽酒。ここで吞むとなんだかうまい。

汁があふれとる

一人分には多すぎるくらい。もの凄い満足感

蕎麦を鴨汁につけてズズズ。一枚じゃ足りませぬ

( 2006/05/02 )