サイン・デザイン

ヨーロッパに行くと、素晴らしいサイン・デザインに出会える。ドイツの駅や空港などは本当にかっこいいなぁと思ってしまう。駅に降り立ち「え〜と...」をあたりを見回すと、苦もなく自分がどうすればよいかがわかる。改札はどこで、乗り換えはどこで、トイレはどこなのか...。欧米は日本に比べて人種が多く文盲率も高いので、サイン・デザインという分野が発達せざるを得ないと聴いたことがある。

マックを使い始めた頃に、アイコンのおもしろさにも惹かれたが、そもそも直感的に意味や機能を理解させるシンボル・デザインというのはあちこちに存在している。電気製品のスイッチ、ボタンなど、普段から接しているものにも多くのメッセージが込められている。

トイレを探しているときに「便所」と紙に書いてあるのと、トイレのマークが配置されているのでは、後者の方がなにかしら心地よく感じる。まぁ、トイレの場合せっぱ詰まっていればどちらでも御の字ではあるけれど(笑)ただ、京都なんかに行って、古い建造物の中に「厠」と書いてあるのとトイレマークがあるのでは、まぁ前者の方が風情はあるかなと。

東京というのは、そういう意味ではごちゃごちゃで、風格のある古いものと風格の無い古いものと風格のある新しいものと風格の無い新しいものがいろいろ入り交じっていて、統一したデザインというのはなかなか難しいように感じる。なんでもかんでも欧米のようなサインが取り入れられる必要はないけれども、たとえば東京メトロになってからの地下鉄の案内は少しずつスマートになっている気がするし、最近開通したつくばエキスプレスなどは案内表示などは非常に機能的でデザインもスッキリしていると感じる。そういう面は少しずつ増えていて、段々と機能的な面と風情の部分がうまく分離しつつ調和していったら面白いなぁと感じる。

サイン・デザインを考えると、インフォ・デザインとかインフォ・アーキテクトなんて分野も非常に興味深いところですが、そこまでのレベルに到達できない私としては、まぁ街中を歩きながらブツブツ言ってみたりする程度なのではあります。

( 2005/12/03 )