アルフォンス・ミュシャ

Alfons Maria Mucha(1860-1939)
私の持っている画集です


大学の先輩で木下さんというギタリストがおりました。

アコギがめちゃめちゃうまかったのを憶えています。オシャレな人でした。下宿の部屋はとても綺麗にしていて、夜に遊びに行くとコーヒーを入れてくれ、ギターを抱えながらあれこれ話してくれたり。

木下さんが見せてくれたのが、ミュシャでした。最初は「ふうん」てな感じでしたが、色艶のある絵を見ながら、木下さんの話っぷりに引き込まれて、なんとなく好きになっていきました。

その後、本屋で画集を見つけて買いました。大学生だったあの当時、夜も更けてくると音を出しての練習もできず、譜面を書いたり絵を描いたりしていました。それが秋とか冬になると部屋が寒い。ガスストーブの上にやかんを乗せて、湯が湧くとティーバッグで紅茶を入れて。優雅なつもりでしたねぇ。そういえばバイトで金が入ったときには紅茶を缶で買ったりもしましたが、もっぱらティーバッグもなくてお湯だけっていう世界ではありましたが(笑)

で、そんな紅茶(お湯)のひとときに、ミュシャを見て過ごすと、なんだかいい気分でした。この絵を描いた時代ってどんなもんだったんだろうか...。絵の中に何を見いだしていたのだろうか...と。

最近では、萌え系イラストがあのパステルトーンの後継者のように感じられなくもないですが(笑)、実際、ああいった作風になる手前の作品などが素晴らしく、あのレベルの画家というものは、間違いなく恐ろしいほどの描写力を持ちながら、次第に作風を創り上げているのだなぁと感心させられることしきりです。私は絵画のことはちっともわかっておらんのですが、最初に絵画として意識したものだったということで、ミュシャにはなにやら甘酸っぱいようなくすぐったいような印象が伴うのでありました。


( 2005/12/01 )