makito's voice

2009年07月17日
まともじゃいられない

  • 電車の中、ぐるんぐるんに酔っ払ったサラリーマンがドアに寄りかかり左右に微動している。立ちながらも寝ぼけて、麻雀のハイを積むような仕草をしている。テレビのCMに出てくるようなカッコイイヘアスタイルな若いサラリーマンが、右手人差し指を口に運び、爪で歯を右から左へ擦った後、次に必ずその指を鼻に近づけ匂いを嗅いでいる。電車の中で空いてる席を探し、忍者の様な俊敏さで座るスーツ姿のオヤジ。ギリギリと怒りに満ちていた顔は座ると穏やかな表情になり、脂ぎった顔を今度は立っている人達に向けている。足をガバチョと広げ、憚ることの無い不機嫌そうな若い男。周囲が不機嫌でないと自分が一番不機嫌で不幸だといわんばかりに、周りに不愉快さをまき散らしている。ヒッ...ヒェン...フンフン...子供が泣いている?と思って見てみると、その泣きすがるような声の主は、だらしなく座席に斜めに座る色白のスーツ姿。手を頭に撫でつけるような仕草をしながら、フンフンやっている。みな精神が破壊されかけているのか、それとも俺の感覚が狭く、そういうことに違和感を感じないほどに世の中の常識に余裕があるのか。
  • 公共の場を大勢の人が歩く。皆思い思いに歩いている。角から角へ、直線最短距離を歩こうとする人がいる。改札の出口のすぐ脇を直線で横切ろうとする。これが車だったらどうなのか。車線の概念も無い、交差点の概念も無い。あるのは、ただ自分が歩くことのみだ。距離と歩行速度で予想をするとどうやらぶつかりそうだ、そんな時にただズカズカと歩いてきて、こちらが歩みを遅くした途端したにも関わらず、スッと方向転換しあたかもこれが自分のコースなのだといわんばかりに突っ込んでくる輩がいる。道幅いっぱい横に並んでノラリクラリ歩く年配の女性達。電車のドアに横から入って割り込みながら、降りる人をはねのけるようにして席を取り「こっちよこっち」と仲間を呼ぶオバチャン達。スーツを着たサラリーマンのマナーもひどい。スーツなんて着る資格も無い。しかし、誰一人望んでそうなっているわけではないのだ。そうなっちゃっていることを、そしてこうして書いている自分とて、「こうなっちゃっている」という今の世の中で、他人に対してどこまで批判できるのか。皆まともじゃいられない...のかもしれないし、そんなの大きな問題でないということなのか...。
  • ごく一部の体験の中ではあるけれど、今の時代は、もはや考えることをやめ、死ぬことに対して恐怖を持たないようになろうとしていると感じることがある。それは動物が集団で海に身を投げるようなことなのかもしれない。ある種本能的にプログラミングされた生物の宿命もあるのかもしれない。しかし、俺は人間としての在り方に理想を持っていたいと思っている。そうでなければ切なすぎる。無論それもまたエゴでしかないのだけれど。脳と意識と心の闘いか。とうことは、それらは一体ではないということか。
  • そして、それらが一体でないということが自分が自分の問題点と認識していることの原因だとしたら、意識を捨てることか、こだわる心を持たぬことで、それらは解決するのかもしれないなー。って書いていてアホらしくもなってきた。