makito's voice

2009年10月18日
北岳

  • いや〜。本が出来て本当にホットして本来なら本日にでも本気で本格的な更新を云々...。いろいろ連絡をいただくことが多く、なにやら反響を感じております。本当にありがたいことです。編集村田さんによるこちらの逸話もご覧ください。私がこう書くと自画自賛的なくすぐったい文章ですが、大事なのはそこではなくてドラムの「チカラ」なのです。この本に登場している人すべてが、そこに向けて言葉を発信しています。その集約感がスゴイと感じる本です。
  • それにしても、身体はガタガタです。家族内インフルエンザ、北岳の冷気と疲労による風邪と筋肉痛と関節痛、インフル感染疑惑、そして昨日は幼稚園の運動会で朝7時から用具係&年長組、綱引きによる父親対決!これがもう気合いは入りまくり。結果は残念ながら二位。ちくしょー。しかし相手がマジ強かった。右手側に綱を持ったので、右半身だけ強烈な筋肉痛ですわ。ぐわー。
  • そしてようやくMacBookの環境も戻りつつあり、北岳の画像を。思えば先週。もう3ヶ月くらい前のことのよう。山に行く機会を逃し、そして仕事のことも含め夜中に爆裂状態になっていたところに、幼稚園の運動会延期という事実。「山に行ってくれば」という嫁の一言。PM21時リズケンのレッスン終了後、家に戻ってザックに道具を詰め込み、電車に飛び乗る。夜行のムーンライト信州号は満席。となると甲府行き特急の最終...ぐわ〜!時間がない!新宿に到着して3分で乗り換え。自由席になんとか座れる。甲府駅構内でウトウト、乗り合いバスでウトウト、翌朝6時前に広河原へ到着。バスを降りるととにかく寒い。半端なウトウト状態だったこともあるが、とにかく寒い。登り出す。南アルプスは山深いとヤマセンが言っていた。30分も歩くと嬉しくなってきた。これこそが自分にとって山の様相だ。登山道というよりも山。多くの人間が歩いてもなお、山が山として残っている感じ。しかし2時間も歩くとヘトヘトになる。聞いていたとおり山が大きい。まぁ広河原からとはいえ、日本第2位の山に登ろうというのだから、それなりに歩くに決まっている。そしてどうみたって急登が多い。汗をかいたところに冷たい風が吹く。気がつけばこれでやられてしまっていた。涼しいからといってベンチレーション全開にし、気がつけば体力消耗。以下、またまたダラダラ写真羅列です。クリックで大きな画像(横長画像は1920pxまで拡大可)になります。間違ってもクリックしないように!そして文章はさらに続く。

    朝6時広河原から

    大樺沢二俣から右俣コース。天気メチャ良し

    空の青が絵の具のようでした。しかしほとんど寝ていないせいかバテバテ。

    北岳肩ノ小屋を越え、両俣小屋、横川岳方面への尾根。3日間くらいあればこれを歩いて仙塩尾根〜仙丈ヶ岳へ向かってみたい。

    北岳山頂。キツイので汗をかくが稜線はとても寒く身体の調子が崩れる。

    北岳山頂から東に見下ろす尾根。高度感が気持ちよい。

    間ノ岳、農鳥岳へ続く尾根。ヤマセンはものすごいスピードでここを歩いている。マジスゲェ。

    稜線には雪もあり、水場は凍っていたり。順序違うけど、これは肩ノ小屋の水場。往復で1時間もかかってしまった...。

    いろいろあってご来光。

    両端が虹のように。そして富士山。

    ふ〜じ〜はニッポンイ〜チの〜や〜ま〜すげえ近く感じる。

    霜柱豪快。

    北岳から八本場のコルを経由して下山。

    下山と言うより、じつは富士山に登っている、とも。

    急な階段をいくつも下りる

    秋だなぁ。紅葉はもう少し後のようでした。

    このあと黙々と降ります。途中派手に足を挫きつつAM11時過ぎには広河原へ

  • ほとんど眠れていないせいもあったろうが、とにかくキツイ。こんなときに黒糖がすごくキクのだが、長続きしない。時計を見るとコースタイムよりも早めだったから、悪いペースではないのだ。このまま山頂まで行き、西に稜線を降りて両俣小屋に向かうことだってそれほど無理ではなかったが、もうそれは無いだろうと感じている自分がいる。幾度もの偽ピークや勝手な期待を裏切られながらも、北岳肩ノ小屋に到着。ここでいただいたホットミルクが実にうまかった。粉末牛乳だと思うのだけれど、身体に染み入った。もうここに泊まることにしてもよかったが、北岳山頂に向かい北岳山荘までは行きたい。地図を見ると北岳山荘に水場は無い。ということでここで下り15分とかかれた水場に行くが、これがなんだか大変だった。行きはヨイヨイ帰りはなんとやらで、実際1.5リットルの水を汲むのに1時間かかってしまう。しかし体力更に消耗。あとでわかることだが、北岳山荘では1リットル100円。もちろん金で済ませば良いと言うことではないが、この1時間との引き替えは無くてもよかったのかもしれない。しかし水はとてもうまかったので満足。
  • 山頂へ向かう。行き交う人と会話をすると、体調が戻る。話をするというのは人間にとってとても重要なことなのだろうと感じる。内容などもはやどうでも良いのかもしれない。相手がいるということの意味。山頂は賑やかで、皆思い思いに過ごしている。中学生くらいの子に「シャッター押してくれないかな」と話しかけると完璧シカト。お母さんもなんだかバツの悪そうな顔をしている。タンクの水を入れ替え作業していたお父さんが仕方なさそうに押してくれた。なんだかなぁ。山頂からは間ノ岳へ続く稜線がカッチョイイ。なんどとなく本やサイトで見た景色ではある。そしてその稜線に山荘が見える。見えているが、歩いてみるとなかなか着かない。時間はある。のんびり歩く。
  • 山荘に着くと「本日はひとつの布団に2名様の案内になります」と書いてある。うーむ。それならばとテント場を申し込む。ツェルトを張って飯を食う。ラーメンとキムチスープ&高野豆腐。そして生姜湯も。これでオッケー!と16時に就寝。しかし寒い。ゴアのシュラフカバーも用意してみたが、どうにも寒い。3時間寝てみた。しかし寒い。身体が慣れてくるような気配もあるが、このまま夜になり明け方になったらどこまで冷えるのか...。しかし起きるのも鬱陶しい。結局19時くらいに小便が破裂しそうになり、トイレに行くのをキッカケに小屋に逃げることを決定。「俺の装備じゃ寒くて...」と言うと「あぁ良いですよ、それよりも体調大丈夫ですか?」と小屋番のオニーチャン。結局、屋根裏部屋みたいなところに、一人で入れてもらって「具合悪そうだから布団使って良いですよ」と言ってくれる。安堵が戻り、家に電話をしたりストレッチをしたりしてから就寝。朝になってもご来光一番を見ようという元気はあまりなかったが、体調はだいぶ回復。布団の中で水を飲み黒糖を口に放りこむ。徐々に覚醒。起きてみると、日が昇った直後くらいだった。布団を使用した代金などを精算し、テント場で朝飯。周囲の人達は続々と出立するが、こちらはノンビリ。ツェルトを畳んでみるが、凍ってバリバリになっている。
  • あとは下山するのみなので、中白根山まで登ってみる。太陽と富士山も綺麗だが、西側に連なる山々もまた美しい。八本場のコルを経由して下山することに決め、あとはひたすら歩く。しかし歩いてみると身体がキツイ。帰宅後わかるのだが、どうもやはりこの時点で熱が出ていた様子。急な岩場やハシゴが多く、とにかくゆっくり歩く。しかしこれが良かった。コルを越え、雪渓を横目に降りる頃になると足が良い感じに順応し始める。ペースメーカーを決め、その人についていくように歩く。コースタイムよりも早く下山している。広河原まであと40分くらいのところで、調子に乗って左カーブを走ったら、ズルっとすべって足首がグニャリ。これは痛かった。そのまま転倒してその場で足を押さえて思わず声を上げる俺。「だだだダイジョーブですか!」と心配してくれる他の登山者。右にしろ左にしろ俺はよく捻るのだ。ドラムをやっているせいか、いつもぐにゃりとなっても、すぐ歩ける。しかし今回はしばし痛かった。バスは一本後に見送らないとダメかなと思っていたが、それも5分もしたら、まぁなんとか歩ける。いや、ともすれば気がつけばまたトトトトと小走りくらいで降りている。抜かれた人を抜き返し、テント場を先に出た人にも追いつき、バスが出る1時間前に広河原に到着。しかし、こんな歩き方は二度としてはいかんなと思う。
  • 家に帰ると、嫁さんもインフルエンザにかかっており、自分も計ってみると熱がある...。靴下を脱ごうとして痛みに気がつき、CW-Xを脱ぐと足首は饅頭のように腫れていた。あのとき、すぐに川の水で冷やせば良かったか...。山には焦って行ってはいけない。なにかの解消を求めて行ってはいけない。自分の状態をもっと冷静に見ることができないといけない。こういう現実は心地よい。現実を突きつけられることはたくさんあるが、人間社会の中にある現実もまた厳しいが、地球環境という現実は襟を正す方向に働く。そして山を下りて駅に付き、立ち食い蕎麦に生卵を入れ、黄身をくずして蕎麦に絡めて口に入れたときの、そんな現実感もたまらん。