makito's voice

2013年02月24日
夢見ることと酔うこと

  • なんというか。どうにも覇気がないなぁ。こういうのはほおっておくとあまりよくないんだよな。ところで、来月は49歳になる。家系、というほど大袈裟ではないが(笑)2代続いて49歳やらその近辺で亡くなったということを意識し始めてからというもの、自分は49歳でソニータイマーみたいになんか切れんのかもしらんとどこかで思ってやってきたこともあって、やってみたいなぁと思うことは幸運にもやれていたりして、さて実際ここらで最終回のお知らせが来るはずがまだまだ番組は続くらしく、あとは何をしようかなという感じもあるw 実際、ネタも無ければ意欲も20代に比べれば落ち着いていて、体力も知力も財力も見る影もなく(笑)おいおい、実際これからなにを生き甲斐に持てるんだろうか。やりたいことはいつでも手に余るほどあった。今でも無いことはないけれど、なんだか大体見えてしまったよなぁ。もしくは見えないということがわかっちゃったとも。爺というかミイラみたいだなおい。ということで、明日への餌もなければ、腐れゆく日本がなにやら気になるこれからの日々、というところであろうか。
  • そんな中、今日はちょっと興味深い流れがあった。専門学校の体験入学というものに行って、まず集まった高校生に講師が挨拶をかねて一言しゃべる。そのときのこと。まず午前中に集合場所に集まって、Uさんという講師と少し話をさせていただいた。最近の学生は、自分の音について、聞いているのに聴こえていない、そんなことを話した。Uさんは非常に真っ直ぐな方であり、優しさもあれば厳しさもある。こういう話をしたらどう返ってくるのかな、と思う気持ちもあった。その後、高校生の前で話す場面になって、Uさんはその話を少し持ちだしてから。他のパートの人達がどうやっているのか、そして歌うということについて少し話しをし始めた。さて、その次にボーカルのSさんが、その話はボーカリストとしてもすごく嬉しい話しと言って、今度は、ボーカリストはメロディや発声も大事ながら、言葉というものを発したということだけでも満足できたり酔えてしまう部分があるのだけれど、やはり人に聴かせるときには全体が...という話に繋げておられた。
  • ドラマーっていうのは、結構自動的に演奏を行うようなところがあって、手足をバラバラに動かしながら何度も何度も繰り返しているうちに、ある種のメディテーションな状態になるところがある。頭の中で、右手をどうして、左足はこうで、とかもう考えなくなるところがある。しかしその自動的なところが、言ってみればぼんやりと不注意に車を運転するような状態になってしまうのではないか、そのために実際の音を聴かずに身体の動きだけで演奏をこなしてしまう部分があるのではないかと。で、それを歌を忘れた自動的なロボット状態みたいに思っていて、そんなことをUさんに話していたのだった。そしてそのUさんが発した言葉から、Sさんは「酔う」という言葉を用いた。おそらくそういう問題を常日頃感じていらっしゃったのだとは思う。この言葉の流れが実に面白く、自分にとってはこんなブーメランで自分に帰ってくるのかと。
  • そうなのだ。酔ってるという状態なんだな。自分はレッスンで学生や生徒に、憧れの音楽に対峙する中で、盲目的で自己判断の無い考え方や、事実を過大評価したり都市伝説みたいなところで蒙昧に過ごすのはあまり得策でないと伝えることが多い。しかしそれは、夢を壊すことになるのではないかという気持ちがあった。しかしだ。これはたぶん酔いなのだ。妄想的な酔い。そこに浸りたいという気持ちは、楽器をやる人間には多いような気もする。しかし、酔っている間に、演奏はズレたりヘマったりアンサンブルが合ってないのに自分は別の世界に入り込んでご満悦、みたいな。こういうことってよくあると思う。人間だもの。どんな分野でも。ある種のペーソスを感じるというか。
  • しかしだ。最近の世の中の悪しき事柄は、どうにもこの「酔い」なのではないかと思う。自分で自分を客観的に見ることができない。被害妄想と自己憐憫と衝動的な攻撃性。なんだ人類が鬱なのか。ペシミズムにしろオムティミズムにしろ、酔っている。そしてついに、酔うことがデフォルトなバイアスが浸透しているのかもしれない。なんせ、自分はまともだと思い込んでいる。眼や耳からそれを覆す情報が入っているにもかかわらず、頭はそれを受け付けていない。で、現実を見せる手立てを取る。すると、酔いが覚める。そこからスタートラインが始まる。そこに行くまででレッスンは概ね終わってしまうというような。
  • 酔い。思い込み。洗脳。我々は、なにを刷り込まれているのか。いやむしろ、なにに閉じこもろうとしているのか。昔は、夢みたいなこと言ってんじゃないよ!と怒られたものだが。今は、夢ならばまだ応援できる、しかし酔っているのは手が出せない。そういう感じがする。誰も覚めたくないんだろうし、俺の世界を邪魔するなって感じか。人類はマトリクスの世界に向かってるのかもなぁ。目を覚まさないといかん。覚まさせないといかん。いやしかしもうそれは俺の役目じゃないやw もう疲れたよパトラッシュ...w。ある意味俺が狂っているのかもしらんしな。と結局振り出しに戻って、なんだか堕ちた気分の中で、ローピッチのフロアタムのようにドローンと揺蕩うような揺れに任せてみたり。
  • 酔うのも人生のテクニックではある。ハズミも役立つこともある。酔ったもん勝ちって感じなのかねぇ。