makito's voice
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2016年11月16日
【ドラマー風間勝雄さんのこと】

いつだったか阿佐ヶ谷のSoul玉Tokyoでのライブが終わって。
「ドラムいいねぇ!」
と声をかけてくださったのが、勝雄さんでした。
 
自作オイル缶ドラムセットを使っていた頃だったか、キッズドラムを店に置くようになった頃だったか...。ニコニコとした酔っ払った顔で、いろいろと自分のドラムのことを言ってくれました。最初は、まぁライブで酔っ払って盛り上がってるオッサン(笑)という感じではありましたが、こっちも酒のんでライブやってるオッサンだし、オッサンがオッサンをわざわざ褒めてくれるのだから、下心などある筈もないわけで、珍しく褒められて嬉しいなぁという感じでした。
 
その後も、ライブの時に「やっぱりいいねぇ!」と声をかけていただいたのですが、昨年の10/24に「これ使ってみてよ」とスネアを持ってきてくれました。ケースから出てきたのはグレッチ。ラウンドバッジのビンテージもの、とはいえ実のところ、キッズドラムのセットに組み込むにはマジ過ぎるスネアでした。自分で持ち込む12〜13インチの薄いスネアの時でも、結構ミュートしたりするのですが、「このスネアの音、山村君が叩いてるのを外から聞いてみたいんだよね。」そう言われてしまったからには、なるべくオープンな状況で鳴らした方が良いだろうなと思いました。
 
スネアだけがマジサウンドだったこと、そしてあまり使っていなかったのか、堅く尖った感じがしていたので、演奏は結構バランスを取るのが手強かった憶えがあります。とはいえ、曲を追う毎に段々慣れてきて、そして勝雄さんが楽しそうに見ていてくれたので、なるほどこのスネアはこういう感じか〜と探らせていただきました。
 
「俺のスネアいい音だなぁ!どう?これ?」
「さすがはグレッチですね〜。しかも古いんですよねきっと?」
「これさぁ、山村君持ってく?」
 
いやいやいや、酔った勢いとはいえ、大事なスネアをひょいとお借りするわけにはいきませぬ。勝雄さんがもっとガンガン使ったほうが良いですよと言うと。
 
「うーん。そうかなぁ。うん、でも今日はこれが良い音だってわかって嬉しかった!」
 
とおっしゃっていました。確か、ストレイナーが調子があまり良くないんだよなーとも言っていて、修理できるのかなーとか。ちょうどその頃自分は某ヴィンテージパーツ収集家なFさんから譲り受けたシェルやらなんやらを使ってミニキットみたいなものを組んでいて、数台まとめてスタジオに集まってみんなで叩いたりしるのをFaceBookに載せていたのですが、勝雄さんはそれを見て「なんかああいうのを再生したりしてるの?あんな風にドラマーで集まるのとか、楽しそうだよね。それならさ俺のところにあるロジャースのセット、もらってくれないかなぁ。で、なんか使ってくれたらすごく嬉しんだけど」みたいな話しに。
 
そこから少しやりとりがあって、勝雄さんに私の行動をできるだけ正確に伝えるべく、別に商売的にやっていることでもなく、出来る範囲で、たまたま縁があって自分のところに来たものを組み合わせたりしてるということ、セットならば、預かってメンテしてみんなで試させていただくということで、永久貸与みたいにさせてくださいと伝えると、昨年11月に西新井リズケンのスタジオまで、車でセットを持ってきてくれました。白いロジャースのセットで、20,13,16でした。ファイバーケース、タムホルダー、フットペダルもあって。例のスネアは貴重なので遠慮(もちろんこのロジャースも貴重ですが)。まぁ、しばらくほおって置かれていた楽器という感じでした。その時に初めて、勝雄さんとドラムの話をあれこれしました。結果的にはあれが最初で最後になってしまいましたが。そして、あのスネアを持ってきた日、勝雄さんはかなり酔っ払って帰宅し、翌朝になって「スネアがない!」と慌てたそうです。で、聞いてみたらお店に忘れて帰っていったとか(笑)
 
その後、ロジャースのセットは時間のあるときに清掃、サビ取りやカバリングの汚れ落とし、ヘッドの張替えなど少しずつ行っていきました。そして5月頃にドラマー仲間と試して、ちょうどそこに居た、自宅をスタジオにしているO君に預けて少し叩いてもらうことに。ちなみにこのO君は、タイコは鳴らさないと気がすまないという性格なので、エージングというか馴染ませるには持って来いの人材です(笑)
 
夏になると、私は某公園で野外でドラムを叩くことにハマり、なんとなくそこで人が集まるようにもなってきて、これなら勝雄さんも楽しんでもらえるんじゃないか、と。そして気がつけばもう年末が見え始める今日この頃。いよいよ忘年会か新年会も絡めて、ドラマー飲み会、運べるドラムセット研究会のオフ会など、そんなのも良いなと。
 
そんなときに、Soul玉TokyoのYさんからのメールでした。
 
急転直下。
 
おそらく誰しもが訳もわからない状況だったと思われます。私は、周囲の方の協力により、お別れに行くことはでき、お顔も見ることができました。勝雄さんが普段どんなスティックを使っていたのかはわかりませんでしたが、自分が今一番気に入っていたスティックのペアを置いてきました。
 
勝雄さん、お預かりしたロジャースの復活をお見せ出来できませんでした。
 
自分の行動が遅すぎました。
 
まだ時間があるだろう、呼ぶにはまだもっと良い機会があるだろう、そんなことが言い訳になっていたかもしれません。もっと、経過の報告や写真もお送りしておけばよかった。なにより、先週はO君がロジャースを持ってきてくれていました。なぜ自分は一本のメールもできなかったのか。何もかも自分がノロマすぎました。
 
訃報を聞いた翌日、ドラムを叩いていたら雨が降ってきました。涙の雨でしょうか。
 
今度、晴れた日にまたあのロジャースをセットしますので、叩きに来てください。
あの場所なら空からでも見つけやすいでしょう?
音もきっとよく飛ぶから聞こえますよね?
 
そして、また俺のドラムについて、何か言ってください。
あんなに真面目な目で、自分のドラムについて話してくれた人がどれほどいたか。
酔っ払った勢いでも、嬉しかったです。
 
勝雄さん、遅くなって申し訳ありませんでした。
そして、本当にありがとうございました。
 
来世は、一緒にドラム叩いてやってください。