makito's voice

2017年07月30日
キャンプという名の飯トレ

  • 淘人とオヤジ、男二人で上高地へ行ってきました。中学の三者面談で、提出物を出さない、授業態度が悪いと、もう何度も言われていることをまた言われたらしく、説教の代わりに食事を整えさせようという考え。あれこれ面倒くさいと言って逃げているとしても、食うことだけは欲があろう。そこで、如何に飯を用意することに知恵と作業と忍耐が必要かを学ぶ...かどうかはわからんが(笑)キャンプという名の、グータラ息子の料理練習のようなもの。
  • 朝5時に上高地バスターミナル到着。小梨平キャンプ場までは歩いて10分程度。お手軽にも程がある。しかしシトシトと雨が降る中、狙っていた川沿いのテント場に空きが少ない。しかも初めての場所なのでウロウロ。気づけば足元もずぶ濡れになってしまった。僅かな隙間があり、そこにいたお兄さんに「ここいいですか?」と聞くと、「僕等もあと2〜3時間でここ空けるんで、そしたらこっちに移動したらいいですよ」と。ありがたい。とりあえず雨を凌ぐために仮にシェルターを張ると「おおっ〜!渋い!Goliteじゃないですか〜!」とお兄さん。しばし歓談しつつ、仮設営し、雨だしなにもできんので仮眠。

    雨。

  • その後8時位になってくると、撤収組がチラホラ。雨は降っているが、アチコチ歩きまわって景色の良いところで「俺達これで撤収だよ」というオジサン達。お兄さんに挨拶して、シェルターを移動し、出入り口にハンモック用に持ってきた小さなタープでひさしを作ったあたりで、ちょっと気持ち的に落ち着いたので珈琲を飲む。息子は寝ている。自分もすることが無いので寝てみるが、しばらくすると雨が本降りに。気がつくと地面に雨が染み出して、水たまりの中に、薄いマットを直に敷いて寝ているような状態に。そういえばお兄さんが「スノコ借りると良いらしいですよ」と言っていたのはこれか...。本降りの中、キャンプ受付でスノコを借りて、まずはシェルターの下に潜り込ませる。なんだかなぁと思いつつ、しかも急場しのぎのタープひさしでは雨が漏れてくるので、自作トーチャンシェルターを使って前室のように改善。んなことしてぐったり疲れる。
  • しばらくすると雨が弱まってきた。よし今だ、水浸しの位置から、少し移動する。普段ならこういう場所に設営しないのだが、指定場所の平地、さきほどまでオジサン達がいた場所ということで安心してしまっていた。多少斜めになるが、水はけの良い位置に。ここでようやく気持ちも落ち着いたが、そろそろ昼時。言ってみれば6時間雨の中設営の繰り返し。緊急時用に買っておいたカップラーメンに卵を入れて済ます。なんだかな〜、上高地の最初の飯がこれかとは思いつつ、最近のカップラーメンはうまいなぁと気持ちも落ち着く。

    緊急時用のカップラーメンを早速利用。

  • 数年前に黒部川を源流地点近くから下ったときに、4日間雨だったこともあったなと思い、まぁ山だからと思っていたところ、昼過ぎから何やら明るくなってきた。そして程なくして青空が。カップラーメンの後、またしても寝ていた息子を起こす。ぐんぐん暑くなってきたので、マットや荷物を干す。いやしかし青空は気持ち良い。
  • つかの間の晴れ間に、マットの上でゴロゴロ。シェルターもスノコも荷物もみるみる乾いていく。息子は本を読む。自分は歩いて5分のビジターセンターあたりの土産物屋に行ってビールを仕込んで飲む。最高。

    読書。今回、息子は丸2日でも30分も歩いていない。

    清流と穂高を前にゴロゴロ。

  • しばらくすると「腹減った」というので、川の前にマットを敷いて、玉ねぎとベーコンを切らせて、バーナーの使い方を教えて炒めさせる。そして買っておいたバゲットに挟んで食べる。

    玉ねぎとベーコンを用意

    清流と穂高を前にフライパン

    玉ねぎ焦げとる

  • そしてこの後はふたりとも昼寝。雨が降らないだけでこんなに気持ち良いのだ。いつも思うが、山は晴れてこそだ。雨の山も想い出には残る。しかし脳天気にキャンプを楽しむには、やはり晴れだ。

    写真を撮る人にとってはなんとも邪魔な存在だったに違いない

  • 夕方になってきたので、晩飯の準備。今回、キャンプで初挑戦な唐揚げ(笑)前の日から漬け込んでおいた鶏肉に薄力粉と片栗粉をまぶさせ、揚げていく。UL的発想からすればバーナーの無駄使いである。しかし、これでもかと味の染み込んだ鶏肉がカラリと揚がり、飯も炊いて晩飯の出来上がり。野菜はゼロw ちなみに油は紙で吸わせて捨てました。

    粉をまぶす

    揚げる

    美味かった

  • 唐揚げが揚がったところでまた雨が降ってきたので、早めの就寝。翌朝も結構降り、急ぎ拵えた前室にてベーコンエッグ。するとこの日は9時過ぎにまた晴れ間が。ありがたい。かなりカラリと晴れてきて、いよいよ天気回復の様子。

    Utopia2+自作トーチャンシェルターの変則組み合わせ

    雨の時は前室がありがたい

  • テン場から少し歩いたところに静かで景色のよいところがあったので、息子は読書、自分は座禅のつもりが、ゴロゴロしてビールとあたりめ。これがまた美味かった。

    パーフェクトに晴れてきた。

    散策と言っても2分も歩いていないw

    良い場所

    分厚い本を持ってきたようだ

    ビールとあたりめで幸せ

    ひたすらゴロゴロ。

  • 帰りは決めてなかったが、そろそろバスの手配をしておこうと歩いて10分程度のバスターミナルへ。河童橋やらバスターミナルやら、もういきなり人がわんさといて土産物屋に客が溢れてお姉さんが愛想を振りまく都会である。こんなに店が並ぶところから歩いて10分のところにテント張ってキャンプだなんて、まぁ山に行く人達にとってはベースキャンプであって良いのだが、自分達はここにしかいないわけで、なんとも都会派のキャンプであろう。いやしかし、実際テン場は静かで、この喧騒はちっとも届かない。むしろテン場の子供連れが賑やかなくらいである。ま、都会でも、隣室で人が亡くなっていても気付かないなんてことがあるらしいので、歩いて10分は、充分に「離れている」ことなのだろう。
  • せっかく来たので、インフォメーション施設で行われていた展示会などを見て、河童橋で写真を撮って店をいくつか覗いて400円もする上高地ソフトクリーム(実にうまかった)を食べて、ビジターセンターのWIFIでバスの手配をしたりして、テン場に戻ると14時を過ぎていた。今日の昼は、小麦粉でうどんを作るミッションだ。ボーメ値目分量で塩水を作り、ジップロックの中で水回し。これはなかなか厳しかったが、まぁなんとかまとめて、香川の讃岐うどんよろしく脚で踏ませる。踏んで広げては畳んで、を7回繰り返し、寝かせている間に出汁を取る。吸い物の出汁ではないので、タイミングはずらしてみたけれど、昆布と鰹節で煮込む。みりんが無いのでザックに入っていたグラニュー糖と醤油と塩で。出汁殻は生姜と刻んで炒め煮して佃煮風に。

    水回しはやはりボールなどを使いたいものですなぁ

    手でこねてまとめてから、脚で踏む。

    うどんつゆ用に出汁を

    出し殻は刻んで佃煮にして、翌朝のおかずに。

  • 本来ならばうどん玉は数時間以上寝かせるが、そもそも昼飯のつもりだったのが、もう15時近い。キャンプ場の広い炊事場で作業開始。延し棒は無いのでナルゲンボトルで。ナイフで細く切ってみるがあまりうまくいかない。琴平の宮武のランダムな感じに雰囲気だけでも似せようと、息子に1本ずつ手のひらでズリズリさせて、太さをよりランダムに。ガスバーナー全開で茹でる。粉が300g程度あったようで、2回に分けて茹でる。バーナーはかなり強力な方だが、しかしそもそもうどんを茹でるには大量のお湯と強い強い火力が必要だ。これでOD缶1本使ってしまったが、息子に味見させたら「もう大丈夫」というので、水で締める。そう、この上高地の清らかで冷たい水で締めてうまくないはずが無い。あぁここで蕎麦食いたい。

    伸ばし

    麺をほぐす

    茹でます

    2回に分けて、結局40分位茹でていたんじゃなかろうか...

  • 予想以上に良い状態だった。つゆも力強い仕上がりで、極太の、はりやを思わせるコシのありまくる麺との相性も良かった。しかし、やはり茹でる力が足りていなかった。半分ほどひやひやで食べたが、結局もう一度煮込んで完食。

    良いエッジが出ている部分も多かった

  • さて、この時点で16時過ぎ。日没も考えると、晩飯の用意の頃合いだが今食ったばかりである。しかし持参した牛肉があり、ビールと共に、清流に沈めてキンキンに冷やしてはあるが、そろそろ食べないとアカンだろう。息子はまた本を読んでいた。自分は川と山に向かって座禅の真似事を試みるが、ついつい清流に沈めた冷たい飲料を飲んでしまう。そして自分は、このキャンプ場にある風呂に入った。立派な風呂だった。熱い湯が心地よかった。なんなんだこれは。キャンプなのか?極楽だ。今さらながら食堂やら売店に寄ってみたら、なんでも売っていた。冷凍肉や野菜もw 値段も高くない。なんなんだこれは。土産物屋とホテルで賑わう河童橋な都会から歩いて10分、ここも見た目は自然だらけでテン場は浸水するが、実は都会なのだ。
  • 段々と暗くなってきた。今夜は雨も降りそうにないので、ヘッデンも用意しつつ米を炊き、少しヤバそうな匂いがしたような気もする牛肉を炒める。中学校の担任が「山登りに肉を持っていくんだがな、すこーし黄色くなって腐り始めた頃の肉がうまいんだよ!」と言っていたことを思い出す。実際、ちょっとやばい匂いがし始めていた。ま、今で言う熟成肉ってことだろうか(違 ま、普通に美味しく頂いて、腹も痛くはならなかった。

    もう少し厚みのある鍋で炊きたいものだなぁ

    肉肉

  • 夜になると星が綺麗だった。流れ星も少し見ることができた。夜中に軽く雨が来て用心したが、結局それが最後ではあった。朝は、昨晩多めに炊いた飯と、出し殻佃煮で握り飯。後から思うが、なぜこれを息子にやらせなかったのか。自分は爽快に早く目が冷めてしまい、ついルンルン気分でやってしまった。料理は、ある一線を越えると楽しいものである。その一線を越させるためにやらせなくてはならぬのに、自分でやってはダメである。

    握る

    良かです

    川と山を前に最後の飯

    もはや受動的に、仕方なく食べているようでもある

  • シェルターも乾いていて結露もほとんどなく、撤収もラクチンであった。最後に受付に挨拶をして、河童橋で写真を撮り、あとはバスで松本へ。松本では、醤油ラーメンを検索して行ったつもりの店が白湯だった。外界の料理はうまいのう。そして、歩いている途中に見つけた八百屋に並んだトマトに目を奪われ、店内にあったブルーベリーもまた激安だったので購入。店のお婆ちゃんが「私も若い頃は槍も穂高も行ったもんよ」と楽しそうに話してくれた。今でも充分に登れそうなお婆ちゃんだった。こんな人も東京に来たら電車の椅子を取り合うようになるのだろうか。あとで食べてみたら「これが完熟というものか」というほどに味の濃いトマトだった。今度は最初に松本で食材を集めてからキャンプに行く行程にするべきだなと思った。

    お約束

    とり麺や五色というところ。兄ちゃんがキリッとして玄人受けしそうな店。

    こういうの買わずにいられない。

  • それにしても、山にも登らなければ、林道を散々歩いたわけでもなく。しかしテレビもネットもゲームも無く。良い時間だった。今回ウェアも含めて山ギアは全部自分のものを息子に使わせたが、ほぼ問題なかった。デカくなってきたなぁ。