シェルター自作 その5 〜シルナイロンで初号機〜

ファイントラックのツェルトを使いながら「もうあと10cm背が高い場所があればいいのに...」とか「どこか一箇所でよいので部分的に高さと広がりがあれば...」「長い面で開けば出入りがラクになるし、夜に星も眺められるなぁ」と考えていた。まぁツェルトなので快適さよりも軽さや機能が重要ではあるだろうし、それならばいっそタープやビビィなんてものもあるだろうけれど、いざとなれば閉じられるっていう感じでなにか作ってみたいと思っていた。

で、今年の4月にいろいろ形を考えて、山の道具に詳しい方々にメールなんかしてみたり。まったくもって今考えると稚拙なアイデアを重鎮の方々に投げるなど素人の恐ろしさ満開であるが、皆さん馬鹿にもせず意見やアドバイスをくださった。名は伏せるが、◯◯◯さんや◯◯◯さんを始め感謝に絶えない思いであります。そしてちょうどツイッターで山や沢の達人の方々の情報を得ることもでき、そうして後から後から、いろんなメーカーがあることなんかも知って「なんだーとっくに似たような製品あるんじゃん」と忸怩たる思いに駆られつつも、「自分の癖」にハマるものが欲しいなという気持ちは残るばかり。その癖を満足させるポイントといえば、以下になる。

・設営が簡単なこと
・好天時はペグダウン3本で済ませたい=横着
・自作トレッキングポールを使って立たせる
・閉じる、半開、全開できるように

夏前に一度ミシンを借りてきたことがあったが、調子が悪くてうまく縫えず。夏は仕事もいろいろあってシェルターつくるどころか、ちっとも山にも行けない。で、少し落ち着いたところでミシンはオフクロから借りておき、ようやく材料を調達して製作開始。

材料調達。

材料はOMM/アウトドアマテリアルマートで注文。ここは通常手に入らないような材料を少量でしかもリーズナブルに販売してくれる。最初はタイベックかネイビーやグレーのシルナイロンでと思っていたが、タンジェリンのシルナイロンにしてみた。1.6m幅×4mあれば充分だが、なんか作りたくなるだろうとちょいと長めに。その他グログランテープなど適宜。100均で買ったナイロン生地でミシンの練習。全然うまくいかない。うぎゃー。糸調子だの縫い目の間隔だのいろいろよくわからん。縫うスピードも気を緩めるといきなり早くなったり慎重になると遅すぎて意図が絡まったり...。しかも、縫うための大きなスペースなどとれるはずもなく、小さな平机の上に、台から取り外したミシン本体を置いて縫うしかない。まぁいいや。別にプロじゃないし。

そしてシルナイロンで少しずつ試し縫い。おっ100均のやつよりは縫いやすいかも。マチ針無いからクリップで止めちゃえ的な発想。とりあえずこの環境の中で縫えるやり方で、見た目よりも強度優先であれこれ試してみた。一番大事と思われる、2枚の生地をつなげるところはFlat felled seamなる縫い方をするのだが、これまた微妙な違いでいろいろある。手持ちのツェルトやシェルターの縫い方を参考にして縫ってみては引っ張って強度を確認。すごいなあ。縫い物を作ってる人たちはみんなやってるんだな。すごいことだ...。

家族が留守になったタイミングに、部屋にシルナイロンを敷き詰めて裁断。偶然、無駄なく簡単に生地取りできる形だったのが幸いして、大きなミスも無く進む。そしてスカート部分の縁縫いなど失敗してもどうにでもなるところから縫ってみる。グニャグニャグニャ...ミシンの縫い目は、少しまっすぐにできたかと思えば曲がり、まっすぐになってまた曲がる...(笑)シルナイロンは折り目もつかないし、両面テープ等で仮止めしようにもツルツルしてくっつかない。背の部分のつなぎのところは細心の注意で進んだが、あっという間に汚い仕上がり。しかし強度は悪くないようだ。縫って失敗しても、ほどけないことは無い。しかし最長で2m以上の長さを何度もやりたくない。見た目はもうどうでもいいという開き直り状態。

1.6m幅×6mを広げてみる。使うのは3m強。

裁断。正確さは望めないができるだけ丁寧に。

平机の上に置いたミシン。巨大な生地を縫える自信などあるわけもなく...

スルスルと滑ってズレてしまった。これは一度ほどいてやり直し...

ミシンも大きくないので、生地がたごまってしまう

ヨレヨレ!しかしこれまだマシな方(笑)

そんなこんなで毎晩少しずつ進めていき、どうにか張れる状態まで行ったので、家の前の芝生で張ってみる。尻の部分をペグダウンし、あとは両サイドをピンと張れるだけ張ってペグダウン。ファスナーをあけてポールを入れて立ち上げる...この瞬間の快感!いやぁ楽しい!あの感触は忘れられない。その後、残りペグループやらなにやら細かいところを済ませて、ようやく第一段階完成!現時点で288g。背面天頂部にメッシュの窓をつけるとか、あれこれまだ予定もあるけれど使ってみないとわからないこと多し。よーし山に行って使ってみるぞ!

正面。天頂部にもループあり。ポール無い場合細挽きで吊ることも想定。

全閉じ。

後ろから。背面天頂部にメッシュの窓を付けたいとも思っているが...

半開状態。

全開状態。天気が良ければこれでオッケー。

半開で少し前に開いた状態。前室風。

ペグループこんな感じ。

補強&居住空間を広げる&ペグ2本で5角形に近い形で張れる位置にもペグループ。

自分サイズ。広くはないが狭くない。

( 2010/10/03 )